「臨界期」という言葉は、子どものことばの話になると、よく出てきます。ただ、この言葉はときどき、親御さんを急がせるための言い方として使われることもあります。
このページでは、そのような不安を強めるためではなく、臨界期という言葉が何を指しているのか、この教室がなぜ2〜6歳に目を向けているのか、そしてそれが何を意味しないのかを、静かに整理してお伝えします。
A.臨界期とは何か
臨界期という言葉は、ある種の学びが、あとからよりも、早い時期のほうが自然に入りやすい期間を指して使われます。言葉について言えば、幼い時期は、音やリズム、その言語の空気のようなものを、説明よりも先に受け取っていける時期です。
この頃のお子さまは、ことばを「覚えるもの」として受け取る前に、まわりにあるものとして受け取っています。英語の音も、特別な知識というより、日々の中で耳に入ってくるひとつの世界として入っていきます。
だからといって、あとから学ぶことが難しい、という意味ではありません。あとからでも英語は十分に学べます。ただ、そのときは、幼い頃とは少し違う道すじで身についていきます。
B.なぜ2〜6歳なのか
2〜6歳は、英語が「勉強」になる前に、自然に生活の中へ置かれやすい時期です。この年齢のお子さまにとって、英語はまだ教科ではありません。音楽のようなもの、ことば遊びのようなもの、いつもの生活の中にあるひとつのものとして入ってきます。
この時期は、日本語の土台が育ちつつある一方で、別の言語も、そのとなりに無理なく置いていきやすい時期でもあります。上に重ねるのでも、あとから足すのでもなく、並んで育っていく形が取りやすいのが、この数年間です。
そして、この時期にいちばん大きいのは、教え方のうまさより、誰の声で届くかです。お子さまは、信頼している人の声を通してことばを受け取ります。だから、この時期の中心にいるのは先生よりも、まず親御さんです。
C.「間に合う・間に合わない」ではない
臨界期という言葉は、ときどき「今始めないと遅い」という形で語られます。けれど、この教室では、そのようには考えていません。
この言葉が示しているのは、締め切りではなく、ひとつの育ちやすい時期です。そのあとに英語を始めても、学べなくなるわけではありません。学び方の形が少し変わるだけです。
3歳で始めたお子さまと、5歳で始めたお子さまを、同じ一本の線の上に並べて、どちらが前でどちらが後ろかのように考える必要はありません。この年齢の学びは、そのような見方ではあまり説明できません。それぞれの時期に、それぞれの入り方があります。
この時期が持っているのは、ある種のやわらかさです。音をそのまま受け取れること。「わかる前に親しめる」こと。この教室は、そのやわらかさを生かしたいと考えています。不安をあおるためではなく、その時期にある自然な学び方に合わせるためです。
D.実際の生活での意味
この時期を生かすということは、長い学習時間を取ることではありません。たくさんの教材をそろえることでも、毎日きちんと机に向かうことでもありません。
短い時間で大丈夫です。一冊の小さな本を開くこと。短い英語のことばを、いっしょに声に出してみること。数語だけでも、同じことばをくり返し耳にすること。そうした小さな時間が、あとから振り返ると、きちんと土台になっていきます。
親御さんが英語を流暢に話せる必要もありません。お子さまの横に座って、本を開いて、英語の一文を声に出してみる。それだけでも、この時期にいちばん大切なことは、すでに始まっています。
この教室が短い本と短い時間を大切にしているのも、そのためです。画面の向こうの誰かより、生活の中にいる親御さんの声のほうが、この時期には意味を持ちやすいからです。
親御さんは遅れていません。英語が得意でなくても、お子さまを支えることはできます。このページを読んでいること自体が、もうその一部です。急がなくて大丈夫です。この先にも時間はあります。
まとめ
- 臨界期は「締め切り」ではありません。早い時期のほうが入りやすい、というだけのこと。
- 大切なのは、教え方より「誰の声で届くか」。この時期の中心にいるのは、親御さんです。
- 短い時間で十分です。一冊の本、数語の英語、くり返し。それが土台になります。
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